コラム

東海道の出発点「日本橋」

お江戸日本橋の上に架かる首都高速の高架を、早い時期に撤去改修する、と桝添要一都知事がコメントした。さて、めまぐるしく有為転変する東京の街並みは、経済至上主義には何人も逆らえない、という暗黙の威圧感を覚えずにはいられない。所詮(しょせん)古い物は淘汰される、との思いは人々の驚きと感動を一時的にし、やがては奪ってしまう。経済を優先させると人は疲れるのである。

高速道路で蓋(ふた)をされ閉じ込められてしまった日本橋が、半世紀ぶりに日の目を見ることは感無量と言える。今まで放置してきた事実こそ、日本人の経済至上主義が相当に重症である証左なのだろう。2020年、東京オリンピックでのわが国のおもてなしの根幹は、歴史と文化をテーマとする東京のグレードアップ、にしたいものである。かつて日本の中心であり、職の伝統を継いだ多くの老舗が存在する、由緒ある日本橋への想(おも)いがあってこそ、秋葉原の新しい文化も光るのである。